
被害者側に過失がある場合に、加害者と被害者の間の公平を図るために過失相殺を行うことについては、すでに説明しました。では、被害者に特異な事情があったために損害生じた場合にも過失相殺が認められるでしょうか。ここでは、過失相殺と素因の関係について説明します。
素因とは、損害の発生や拡大に影響を与える被害者の精神的・肉体的な要因のことを言います。
やや抽象的でわかりにくいですが、例えばもともと腰に持病を抱えていた人が、自動車の事故に遭ったことで、たいした事故でもないのに腰の骨を折ってしまった場合に、腰の持病が素因に当たります。これ以外にも、高齢であることも素因といえますし、心の病気があることも素因といえます。
では、素因があることで交通事故の被害が拡大した場合に、加害者と被害者の間の公平を図るために過失相殺をしてもいいのでしょうか。結論から先に申しますと、過失相殺ができる場合もあるということになります。過失相殺は裁判所が行うものであるということはすでに説明しましたが、裁判所が過失相殺を行うのは当事者間の公平のためなのです。
もちろん、過失相殺をする際の基準を裁判所としてももっていますが、裁判所からみて過失相殺をしないと不公平だと思われれば被害者の素因による過失相殺が行われることになります。裁判所は、一般人の個体差の範囲内の体質では過失相殺をしないという判断をしていますが、何が一般人の個体差の範囲内の体質なのかという点は、事案によりけりということになります。
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